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C・Kさんの体験談

 

ステップで学んだ体験談をC・Kさんから頂きましたので原文のまま掲載いたします。
 

1. ステップに来るまでに何をしてきたか?

 元々の私の性格は明るく、人が好きで人からも慕われていました。けれども生い立ちに受けたのトラウマから、家族に対しては、特に妻に対しては辛くあたる事が多かったと思います。

支配とコントロールこそがの本質であると知らず、それが魂の殺人という恐ろしさも分からずに大切な妻を苦しめていました。

 そうした中、⚫️年前のある日に妻が家を出て行きシェルターに入りました。その後は私の母が倒れた時に、一度会えただけで話が出来ないまま離婚にいたりました。

結婚したばかりの頃に、夫婦喧嘩で2度、妻に手を挙げたことがありました。その後20年目頃に1度腕を叩いてしまいました。おそらく結婚当初に手を挙げてしまった時に、夫婦としての心の関係は壊れていたのかも知れません。孤独だった私は妻に対して怒りを選択してきたと思います。

 私は父が3人いましたが、2人目の父から、5才から15才までの10年間、壮絶な虐待を受けそのトラウマに苦しんできました。そうした過去から、欲求充足が出来ない時の表現の仕方は父から受けた怒りの表現しか知りませんでした。

 

 DVをしている時の思考は、”父よりはまし”だったので、DV認識は、“自分は暴力をしていないから問題はないだろう“というものでした。

しかし、歪んだ認知と歪んだ特権意識(妻は私に仕えるべき。食事や家事はしてくれて当たり前、トラウマから自律神経を病んでいる自分を妻は支えてくれるべき)から、妻がそれを満たしてくれないと外的コントロール(批判する。責める。ガミガミ言う)をしていました。

 あの頃は、正論(歪んだ認知から出た正論)なら怒って良い。正しい怒りなら相手を変えられると思っていました。“他人は変えられない”事を知っていたらとつくづく思います。

妻は、私に対する恐れや怒りを隠すのに疲れ果てて去って行ったのだと思います。加害者であった私に出来る事は、彼女の思いに寄り添うことだけなので、離婚届が届いた時、サインをして翌朝、30年間、私を支えてくださった妻に感謝と謝罪の思いを込めてお辞儀をして離婚届を投函しました。その後、疎遠になっていた娘達と交流が復活しました。
 

 

2.ステップで学んだこと

  選択理論を学ぶ前は、自分のDV気質に気づいていませんでした。ステップで選択理論を学んで過去をふり返る中で、自分がどれだけ外的な支配とコントロールをしてきたか、批判的・否定的な言葉をかけ続けていたか、これでは妻や家族は大変辛かったであろうと気づきました。

 以下はステップで選択理論を学んで自分と向き合った事です。これを、自分と向き合う為に用いて頂けたら幸いです。
 

Ⅰ.  DVの定義

 

A 関係性が主従関係である

暴力(身体・言葉)は相手を支配する為の道具である

結果:相手は言いたい事の一割しか言えなくなる

B 親密な関係に起こる(甘えや期待があるから)

何故なら:相手が所有物になっているから

C 人権侵害であり犯罪である

夫婦喧嘩は両者に非がありますが、DVは加害者が100:0になります。
 

Ⅱ. DV加害者になる心理

A 上質世界と現実世界のギャップ

→人は価値観(べき)をもっていて、その価値観と現実が合わない時、相手が自分の思うように動いてくれない時に怒りが生まれる。    

 

B 5つの基本的欲求「生存」「愛・所属」「力」「自由」「楽しみ」の満たしを相手に求めている。

5つの基本的欲求が満たされないと、相手を外的コントロールする心理学の考え方である。

7つの致命的習慣:批判する、責める、文句を言う、ガミガミ言う、脅す、罰する、褒美で釣る)で 変えようとする。

結果:良い人間関係が築けなくなる。結果、別居や離婚に至る。
 

 Ⅲ. DVからの回復の道

 A 5つの基本的欲求を自分で満たす。これが幸福感をあげる基本。次に相手が自分の基本的欲求を満たす事が出来る様にお手伝いする(相手の欲求は自分でしか満たせないので)…その結果、良い人間関係が築かれていく。 

 B 上質世界を貼り替える(妻が掃除をしない。妻は掃除をすべき→掃除は誰がしても良い)

 

上質世界の貼り替え方

①こうあるべき(相手に義務を強いる)

      ↓

②こうしてくれたら良いなあ(弱い願望)

      ↓

③相手の自由を尊重(支配のない願望)

 C 内的コントロール心理学の考え方で相手に接する。

7つの良い習慣(傾聴する。支援する。励ます。信頼する。受容する。尊敬する。意見の違いを交渉する)で相手に接する。

結果:良い人間関係が築けるようになる。

      ↓

関係の修復:同居・面会交流にいたる。
 

 

 Ⅳ. DV加害者の回復への道

 

A アンガーマネジメント(怒りのコントロール)を身につける

B     7つの良い習慣を身につけて愛による実践(内的コントロール心理学)で生きるようになる。(傾聴する。支援する。励ます。信頼する。受容する。尊敬する。意見の違いを交渉する)

 

 C 全行動を意識して生きるようにな

 全行動とは、人の行動のメカニズムです。私たちの行動は、全て4つの要素が関連しています。

・車の4つの車輪に例えられる

 

動く前輪は変えられるもの(行為と思考)。

動かない後輪は変えられないもの(感情と生理反応)

前輪である行為と思考を変える。

 

例:

変えられる:思考を変える(妻は怠けている→出来ない理由があるのでは?)

 

変えられる:行動を変える(掃除をしない妻を怒鳴る→自分で掃除をする)

     

変えられない:感情に変化が現れる(怒り、イライラ→穏やかになる)

     

変えられない:生理反応に変化が現れる(カッとなる、動悸がする→正常になる) 

 

D 怒りのコントロール(アンガーマネジメント)

 アンガーマネジメントをする為には、リフレーミング(プラス思考)が必要。

 

リフレーミングの仕方

 ①相手は最善の選択をしている。

 ②何でもあり

 ③良かった探し。

 ④大丈夫。

 ⑤まあ〜いいか

 

E アンガーマネジメントに役立つ思考

①他人と過去は変えられない。自分と未来は変えられる。

②考えが変われば行動が変わる 

  行動が変われば習慣が変わる

  習慣が変われば性格が変わる

  性格が変われば人格が変わる

  人格が変われば人生が変わる

③怒りは全てを失う

④相手に心を奪われると自由になれないです。境界線を引きましょう。

⑤魔法の言葉を使う。「まぁいいか、それはちょうどいい、なんでもあり」

 

F 人は自分で気づかないと変わる事が出来ない。

→怒りで相手を変える事は出来ない。

「気づきを促す3つの質問」を用いると有効。

「どうしたの?(現実世界を聴く)どうしたいの?(上質世界を聴く)どうしたら良いと思う?(行為と思考を聴く)」と問いかけて、気づきを促し共感して受容する。

 ★選択理論は自分の人生を変える事が出来るものです。そしてその歩みは、自分の正しい姿を知る事(気づき)から始まります。自分の認識と思考の歪みに気づく。選択理論を適応して実践してみると、そこで変化を体験する事が出来、変化が楽しくなってきます。


3. 変わった事

 私は30年連れ添った妻が家を出て行ってから、一度も話し合うことが出来ないまま離婚に至りました。私のDVが原因でした。DV加害行為は、被害者のみならず、家族や関係者に、こんなにも大きな影響を与える事だと、その時に気づきました。DV加害行為の最も影響が大きいのはDV被害者です。DV被害者はこれから長く苦しみます。DV行為は魂の殺人だからです。

 私は生涯の伴侶となってくれた大切なパートナーに大変な事をしてしまいました。

自分の罪に気づいてからは、自責の念から、自虐的に5つの基本的欲求を自分で満たして良いのだろうか?という葛藤がありました。過去は変えられないと言っても、出来ればパートナーに心の傷を与えてしまった日々をやり直したい思いがあります。しかし、それは不可能なので、妻への謝罪の思いを生涯持ちつつ、心の癒しを祈りたいと思います。
 

 ステップでの学びを通して、自分の歪んだ認知、歪んだ特権意識から妻に対して、外的に支配とコントロールしていました。それがDVだと分かりました。

自分の正論をぶつければ相手を変える事が出来る。妻は自分に従うべき、何故従わないのかとイライラしていました。

 そうした自分のDV気質を変えるには、先ず自己肯定感を上げる事が大切だと気づきました。それにはまず7つの良い習慣で自分を受け入れます。自立をする事です(自分の為に美味しい食事を作っても良い。面倒くさかった食器洗いを自分と向き合う(無になる)時としてゆったりと食器を洗う→クオリティタイムになった。掃除や片付けをする→自分でコントロール出来る事をして達成感を得る…)すると楽しくなってきたのです。自己肯定感が上がってきたと感じます。

 今では「あの時何で怒鳴ったのだろう?」と不思議に思う事もあります。たまに、昔のシチュエーションと同じ経験をする時、怒りを選択していない自分に気づく事もあります。怒りでは何の解決にもなりません。相手が変わらないばかりか大切な人間関係を壊すだけです。

「自分の機嫌は自分でとる」…自分の基本的欲求や機嫌は自分で満たす以外にありません。そして、これこそが人が幸福感を得る基本だと学びました。
 

 最後に、自分の変化が母との関係を変えた事をお話します。

ステップに通い始めて7ヶ月目、お正月にステップの友人と、我が家で3日間、選択理論合宿をしました。そこで43年苦しんできた父親の虐待のトラウマを乗り越える事が出来、母も、母の後悔から解放されました。(母の後悔:一人で生きる自信が無くてDVをする夫と離婚せずに息子の人生に影響を与えてしまった)

 母は、友人にカウンセリングして頂き、そこで父のトラウマを乗り越えたばかりの自分の先の体験を話しました。「父も厳しいトラウマの中で生きていた。だから今、父が最善の選択をしていた事が分かった。私に歪んだ依存をしていたことが分かったが、今、それを受け入れる事が出来た」と母に語った時、母は後悔から解放されました。その時 、母の目が輝いたのを忘れられません。それから母は倒れるまでの7ヶ月間、会う全ての人に「私、幸せよ」と言って私の変化を話していました。私は一生、母に苦しみを与えた事を後悔するところでしたが、最後の最後に親孝行ができました。栗原理事長をはじめステップの方々に心から感謝しています。

 ステップではDV加害者が集まってグループ学習を通じ、気づいた事を実践します…その支援を受ける事が出来ます。栗原理事長やスタッフの方々の愛のある選択理論による御指導の下です。あと必要なのは、自分と未来は変えられるのだから変わりたいという意志と覚悟だけです。私達の人生は劇的に変わります。そして変わる喜びを体験することが出来ます。人はいつからでも何処からでもやり直せるからです。新しい人生の扉がここにあるのです。

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